- 稽古前後の時間帯で役割が異なる食べ方
- 体重よりも出力維持を軸にしたPFC設計
- 強度や本番期で変える炭水化物の質
- たんぱく質は量×回数×品質で最適化
- 脂質は種類と調理で消化の負担を調整
- 水分と電解質は気温と発汗で可変運用
- 鉄・カルシウム・ビタミンDの不足回避
- 無理な減量のリスクと安全な調整幅
バレリーナが食事メニューを整える|実例で理解
目的は「出力の再現性」を保つことで、体重計の数字に一喜一憂しない枠組みを先に決めます。強度と発汗量、稽古の連続日数を手がかりに、炭水化物と脂質の比率を微調整し、たんぱく質は常に一定域を死守します。短時間高強度と長時間中強度では必要な糖質量が変わるため、同じ献立を固定せず、曜日とコマ割りで回す回路を作ります。
総エネルギーの考え方と稽古強度の割り振り
「平常日」「高強度日」「完全休養日」の三相で基準を作ると迷いが減ります。平常日は維持域、高強度日は平常比で炭水化物を増やし、休養日は脂質と野菜・発酵食品を厚めにして消化を休ませます。週の前半と後半で足の張りや睡眠の質を観察し、翌週の配分に反映すると、必要量が個別最適に近づきます。
PFC比率の目安と微調整の手順
たんぱく質は体重1kgあたり1.6〜2.0gを目安にし、1日3〜5回へ分割します。炭水化物は稽古量に応じて増減し、脂質は消化負担と満足感のバランスを見ます。夜稽古が長い日は、稽古前に高GI寄り、稽古後は低GI寄りを意識し、寝つきを悪くしないよう脂質を控えます。
稽古前30〜90分に摂る軽食の設計
消化が軽く血糖が安定しやすい軽食が合います。白米おにぎりや熟したバナナ、低脂肪ヨーグルト+蜂蜜、ライ麦パン少量などを、カフェインと合わせる場合は過剰にならない範囲で。食物繊維や揚げ物は直前に避け、内臓への血流負担を軽減します。
稽古後30分と就寝前の回復窓
稽古直後は吸収が速い糖質と乳製品ベースのたんぱく質が扱いやすい選択です。就寝前は消化が穏やかなカゼイン系や卵・大豆食品を少量足し、夜間の回復を助けます。遅い時間帯は香辛料を控え、睡眠の連続性を守ります。
遠征・本番前日の整え方
移動で食事が乱れやすいため、持参できる主食とたんぱく源、電解質飲料を事前に用意します。塩分は普段より少し意識して、むくみと痙攣の両リスクを下げます。新奇食品の試行は避け、胃腸に馴染んだ食材を中心に選びます。
注意:急な摂取量の上下は便通や睡眠を乱します。変更は2〜3日かけて段階的に行い、体感を記録して次の調整に活かしましょう。
- 平常日:主食=中、脂質=中、野菜=多
- 高強度日:主食=多、脂質=少、たんぱく=一定
- 休養日:主食=少、脂質=中〜やや多、発酵食品=多
- 夜稽古:直前は消化軽め、後は低GI寄り
- 本番前:新奇食品を避け慣れた献立
ミニFAQ
Q. 夕方の空腹で手が震える。
A. 昼と稽古前の間にバナナ+ヨーグルトなどの軽食を挟み、血糖の谷を作らないようにします。
Q. 体脂肪が落ちにくい。
A. まず睡眠時間と便通を整え、夜の脂質と甘味の重なりを点検します。無理な糖質カットは避けます。
Q. お腹が張りやすい。
A. 食物繊維の種類を見直し、稽古直前のサラダ量を減らして加熱野菜に切り替えます。
たんぱく質と回復を最大化する具体メニュー

損傷した筋線維の修復だけでなく、ホルモンや免疫にも関わるため、たんぱく質は量・回数・品質の三本柱で考えます。動物性と植物性を組み合わせるとアミノ酸の偏りが緩み、消化の負担も分散します。口当たりや香りで飽きを抑え、日々の実行性を維持します。
品質の高いたんぱく源の選択肢
鶏むね・卵・しらす・鮭・ヨーグルト・豆腐・納豆・高野豆腐などを回して、脂の重さを避けたい日は蒸し・茹でを選びます。調味は塩麹やレモン、味噌で変化をつけ、香草を使うと塩分を抑えても満足感が上がります。
調理と下ごしらえの工夫
作り置きは2日で使い切る量に留め、小分け冷凍で衛生と味を両立します。下味冷凍に塩麹やヨーグルトを使うと柔らかく仕上がり、稽古後でも食べ進めやすくなります。衣や油の量を減らし、消化の軽さを優先します。
タイミングと分割摂取
朝食・昼食・稽古前後・就寝前の4回に薄く分けると吸収のロスが減ります。稽古後30分は乳製品+果物など速い組み合わせ、その後の食事で魚や卵・大豆を足して全体を整えます。週2回は赤身肉を少量取り入れ、鉄の不足を防ぎます。
手順
- 週の稽古予定を確認して必要回数を決める
- 動物性と植物性の比率を5:5〜6:4で設計
- 下ごしらえは蒸し・茹で・煮込みを軸に
- 稽古後30分と就寝前の小分けを用意
- 赤身魚・赤身肉の日を週2回に設定
比較
揚げ鶏の満足感は高いが消化が遅く、夜稽古後は睡眠を妨げやすいです。蒸し鶏+柑橘ソースは脂の負担が軽く、翌朝のだるさが出にくい傾向があります。
用語ミニ集
必須アミノ酸:体内で合成できず食事から摂る必要がある9種類。
ロイシン閾値:筋たんぱく合成を強く促す目安量。
カゼイン:消化がゆっくりで就寝前に向く乳たんぱく。
炭水化物の戦略:質と量の切り替えで持久とキレを両立
動きのキレと持久は筋グリコーゲンの残量に強く影響されます。量を増やせば良いわけではなく、稽古の前後と睡眠の質を損なわない質の選択が鍵です。低GIと高GI、でんぷん質の種類、果糖との組み合わせを意図的に切り替えます。
低GIと高GIの使い分け
稽古の2〜3時間前は低〜中GIの主食で安定、直前30〜60分は消化の軽い高GIで補助、本番前日は低GI中心で翌朝の空腹感を緩和します。果物は食物繊維が多い品種を避け、皮をむくと直前でも使いやすくなります。
グリコーゲン補充と腸のトレーニング
長めの稽古日の朝に主食を増やし、腸に糖を運ぶ感覚を慣らします。稽古中のゼリーやドリンクを試すなら、必ず練習日でテストし、本番で初使用は避けます。胃の重さや喉の渇きを記録し、濃度と量を個別調整します。
食物繊維とFODMAPの管理
豆類や玉ねぎ、乳糖が気になる場合は稽古直前に量を抑えます。繊維は加熱してかさを減らし、朝や休養日に厚く入れて全体のバランスを取ります。腸の張りが強い日は、発泡性飲料や辛味の強い調味を控えます。
よくある失敗と回避策
①直前にサラダ山盛り→加熱野菜へ置換。
②菓子パンのみ→乳製品や卵を足し吸収を安定。
③糖質を過度に恐れる→強度日に限定して増やし翌日は戻す。
ミニ統計
- 夜稽古後に高脂質を避けた日は入眠までの時間が短縮
- 直前の高GI補助は跳躍の自覚的キレ向上の報告が多い
- 食物繊維を朝へ寄せると稽古中の腹部不快が減少
ミニチェックリスト
- 直前は高GI+低脂質を徹底したか
- 長時間日は朝の主食を増やせたか
- 新規ドリンクは稽古で試せたか
脂質と微量栄養:消化の軽さを保ちながら不足を防ぐ

脂質は量だけでなく種類が大切です。n-3系を魚やナッツで補い、加熱時は高温に強い油を使い分けます。微量栄養では鉄・カルシウム・ビタミンD・ビタミンB群・亜鉛が鍵で、月経や日照の季節差も考慮しながら不足を予防します。
| 栄養素 | 主な食品 | 役割 | 摂り方のコツ |
|---|---|---|---|
| 鉄 | 赤身肉/しじみ/小松菜 | 酸素運搬 | ビタミンCを同席 |
| カルシウム | 乳製品/小魚/大豆 | 骨強度 | 少量を分割摂取 |
| ビタミンD | 鮭/卵/きのこ | 骨・免疫 | 日照と併用 |
| n-3系脂肪酸 | 青魚/くるみ | 炎症調整 | 週2〜3回 |
| 亜鉛 | 牡蠣/赤身肉 | 回復 | 過不足に注意 |
遠征続きで外食が多い時期は、朝にヨーグルト+きな粉+果物、夜は焼き魚定食を選ぶだけでも回復感が違いました。
比較
揚げ物中心の外食は満足感は高い一方で翌日の重さが出やすいです。焼き・蒸し中心の定食を選ぶと、同じカロリーでも稽古での動きが軽く感じやすくなります。
水分・電解質・補助食品の扱い方
発汗量と気温で必要量は変わります。水だけでなく、ナトリウムやカリウム、マグネシウムなどの電解質を状況に応じて補い、胃もたれを避ける濃度で運用します。サプリメントは「不足を埋める」位置づけで、まず食事を整える前提を忘れません。
- 気温と稽古時間から必要量を見積もる
- 発汗量が多い日は電解質飲料を薄めて使用
- 稽古前は少量ずつ、稽古中はこまめに
- 夜はカフェインを控えて睡眠を優先
- 鉄やビタミンDは検査と相談して補う
- 新しいサプリは平常日に単独で試す
- 胃が重い時は温かいスープで水分補給
注意:電解質は濃すぎても薄すぎてもパフォーマンスを損ねます。味覚だけに頼らず、尿色や体重変動、口渇感を合わせて評価します。
- 稽古日:開始前に200〜400ml、以後20分ごとに少量
- 高温多湿:ナトリウム濃度をわずかに上げる
- 睡眠優先:夕方以降は刺激物を控える
稽古日に合わせたバレリーナの食事メニュー例
ここでは朝・昼・稽古前後・夜の流れで、消化の軽さと満足感の両立を意識した献立を提示します。体質や嗜好に合わせて、主食の量と脂質の種類を微調整してください。週の中で魚・卵・大豆をローテーションして、飽きと不足を防ぎます。
平常日の流れと献立
朝:オートミール+牛乳+バナナ+はちみつ少量、ゆで卵1個。
昼:雑穀ごはん、蒸し鶏と野菜の塩麹和え、味噌汁。
稽古前:おにぎり小+ヨーグルト。
稽古後:フルーツヨーグルト。
夜:鮭の塩焼き、ほうれん草おひたし、豆腐とわかめの味噌汁、白米少量。
高強度日の流れと献立
朝:トースト+ピーナッツバター薄塗り、ギリシャヨーグルト、柑橘。
昼:うどん+温玉、鶏ささみ梅和え、小鉢。
稽古前:熟したバナナ。
稽古後:ココアミルク。
夜:鯖の味噌煮、根菜の煮物、白米中盛り。就寝前:牛乳少量。
休養日の流れと献立
朝:ライ麦パン、スクランブルエッグ、サラダ、ヨーグルト。
昼:玄米、豚しゃぶおろしポン酢、湯豆腐。
間食:ナッツ少量。
夜:鶏団子と野菜のスープ、白米少量、果物。
ベンチマーク早見
- たんぱく質:体重×1.6〜2.0g/日を4回に分割
- 稽古前:高GI+低脂質で胃を軽く
- 稽古後30分:糖質+乳製品で回復開始
- 夜:低脂質+温かい汁物で入眠支援
- 週2〜3回:青魚または赤身肉で鉄とn-3補給
- 水分:開始前200〜400ml+稽古中こまめに
手順
- 週の稽古カレンダーを書き出す
- 平常日/高強度日/休養日を色分け
- 各日の主食量と脂質源を先に決める
- たんぱく源を動物性/植物性で交互に
- 買い物リストを作り置き前提で最適化
「夜稽古後に汁物を足すだけで翌朝の軽さが違う」と感じる声は多く、量よりも質と時間帯の一致が効く好例です。
まとめ
食事設計は「強度と時間帯」「回復の窓」「個人の消化特性」を軸に回すと、体重や体脂肪の小さな波に動じにくくなります。完璧な献立を探すより、実行しやすい仕組みを用意し、週ごとに微修正を重ねることが舞台での安定につながります。稽古前後の食べ方と睡眠、電解質の扱いを整え、同じ動きを同じ力感で再現できる状態を日常的に目指しましょう。


